オーストラリアでアシスタントナースをしてみよう!仕事内容と勤務時間は?
この記事を読んでほしい人:
- 日本で看護師を1年以上している人で、
主にオーストラリアに留学してみたい人 - オーストラリアでAIN(アシスタントナース)として働く予定の人
- 将来海外で働いてみたい看護学生
今日は、オーストラリアの「アシスタントナース」について話したいと思います。
実際どういうことをしているのか、シフトはどんな感じなのか。
これからオーストラリアに行こうと思っている看護師さんにとっては、
一番気になるところではないでしょうか。
事前にしっかりと知っておくことで、
自分の英語をどの程度まで伸ばすべきなのかわかるでしょう。
※ここで私が書いていることは、「私個人」が実際に体験したことであり
今の相場や現場全部を断言しているわけではありません。悪しからず。
「アシスタントナース」とは
アシスタントナースは、英語でAssistant in Nursing
略して「AIN」と呼びます。
主に看護師の指示のもとに動くスタッフで、
日本語だと「看護助手」とよく訳されていますが・・・
そもそも「アシスタントナース」は、
日本でいう看護の制度でどのあたりなのでしょうか。
まず、日本で「看護」といえば看護師と准看護師ですね。
看護関係のひとなら、大体このあたりのことはご存知でしょうが、
- 看護師は国家資格:厚生労働大臣の免許
- 准看護師は都道府県知事の免許
医師、歯科医師または看護師の指示を受けて動く
というのが大まかな違いですね。
その次に介護福祉士。
いわゆる「介護士」です。
こちらは国家資格として、専門性が認められています。
その他には、資格を必要としない「看護助手」があります。
さて、オーストラリアでいう「アシスタントナース(AIN)」ですが、
結論からいうと
「介護士」に近い動きをします。
でもバイタルサインも取れば、
必要に応じた報告もするので
介護福祉士よりも少し仕事の幅が広いです。
どこで働けるのか
「アシスタントナース」は、主に「ナーシングホーム」という
「老人ホーム」で働いています。
または、私のように私立の病院をメインとして働くこともあります。
日本の老人ホームというと、建物が一つと駐車場があるイメージですよね。
ですがオーストラリアの老人ホームはとにかくでかいです。
さながら小さなビレッジ(村)で、施設の端から端までは車で移動するほど。
なので、施設の中の建物によって自立度が違ったり、サービスや設備が違ったりします。
ナーシングホームはこんなとこ
どれぐらい広いかというと・・・
まず、そのビレッジの一部がこちら。
病室とデイルーム。
3時のティータイムになると、
演奏家の方がきて音楽を歌ってくれます。
この全部を外から見ると、、
という具合になります。
AINの仕事内容
アシスタントナースは、先述の通り
「病院」または「ナーシングホーム」というところで働きます。
病院の場合
主にシャワー介助、トイレ介助、着替えなど
日本で看護師がやっている「介護士さんとかぶる業務内容」がAINの仕事となります。さらに病院AINの場合はバイタルサインもとります。
ナーシングホームの場合
ナーシングホームの場合は、シャワー、着替えに加えて、デイルーム(談話室)に入居者さんを案内したり、定時でオムツ交換をします。病院よりも介護度の高い人が多いのが特徴です。
守られているスタッフ
これはどの施設でも共通するのですが、オーストラリアでは患者さんを持ち上げて自分の腰を痛める行為が禁止されています。従って、施設がスタッフのために必要な機械を揃える義務を負っているのです。
もし必要なリフターがなく、スタッフが身体を使って患者さんを移乗させて腰を痛めた場合は。施設を訴えることができます。(!!)
(ビクトリア州Work Safeの公式ページ)
労働スタッフは守られるべき立場にあるため、もし裁判で雇い主が負けた場合は莫大な罰金(慰謝料)が課せられるそうです。
なので、寝たきりの人や立ち上がれない人は、「リフター」という機械を使って動かします。これは「絶対的ルール」となっています。
日本の病院業務とここが違う
一体何が違うのか。
業務全般は似ていますが、
シフトも文化も違います。
シフトの境目が全然違う
Morning(モーニング)、Afternoon(アフタヌーン)、Night(ナイト)シフトがオーストラリアでの主な勤務です。ちなみにオーストラリアの正看護師も、ほぼ同じシフトでスタートします。
Morning: 6:30~14:30
Afternoon: 14:00~21:00(または22:00)
Night: 21:00~翌日6:30
施設によって若干の違いがありますが、
なんにせよ
朝シフトは早いです。
休憩がちがう
「ティーブレイク(お茶休憩)」ってご存知ですか?
ここオーストラリアには、朝の10時〜10時半頃にTea Breakがあります。
コーヒーと紅茶と牛乳とトーストが施設に置いてあって、ジャムやはちみつを塗って食べます。
フルーツ盛りが各勤帯にもらえるので、みんなで食べたり、クラッカーとクッキーがTake Free(ご自由にどうぞ)で置いてあったり。
オーストラリアは晴れの日が非常に多いので、お外に出て日光浴をしながらコーヒーをすすります。
20分間の休憩、と言われていますが・・・だいたいみんな25分ぐらいとってたな〜(笑)そこは時間にルーズなオーストラリアです。好き。
お昼の休憩は大抵、どこも30分です。
もちろんそこでもティーを用意して、ご飯のあとに一服します。
・・・が、いわずもがな。こちらもだいたいみんな30分オーバーでした。笑
「体で移乗させる」がない
「患者を自分の体で支えて動かす」という意味でつかわれる「ボディメカニクス」はもはや死語です。
さきほど「リフター」の話をしましたが、オーストラリアでは患者さんを「自分の力」で持ち上げることは禁止されています。
なぜなら、「重いものを持ち上げれば腰や関節を痛める可能性がある。それは経験の有無に関係しない」から。
まぁ、そうですよね・・・。
そして「もし背部をいためたらこんなサポートがあります」という情報をオーストラリアの政府も出しています。
https://www.carergateway.gov.au/moving-and-lifting-people-safely
そしてもう一つ、これは個人的な意見ですが・・・
オーストラリアの人って、大きな人が多いのです。
こんな人や、こんなひと。
日本ではなかなかいない体の大きさです。
「初っ端から諦めた方がいい!」と開き直った結果がこの状況なのでしょう。
超過勤務は「バカなの?」
日本は、「会社のために」「先輩、上司のために」「病院のために」「患者さんのために」働きます。だから、終わってない業務を終わらせるのは当たり前だし、「それが責任っていうもんでしょう?」という思考。
一方こちらオーストラリアでは、
定時を過ぎてまだ仕事をしていたら、「そんなのほっときな!帰るよ!」といわれます。たとえ患者からナースコールを受けていても、それすらも放置。就業時間の数分前にはすでに全員がカバンをかついでいます。
「自分は対価(お金)をもらっているから働いている」という意識が非常に強いのです。だから、時間外は1秒たりとも働かない。むしろ、時間内に全て終わらせるのが普通。万が一終わっていないことがあれば、それすらも全て次の勤務のスタッフに送ります。
残業をしていたら、「依頼もできずに抱え込んで、時間の管理もできない無能なの?」という扱いを受けます。
仕事量が違う
日本で看護師をしていたら、時間がきたらカバンを持ってスタンバイしている状況はほぼありえないことですが、オーストラリアはそれが当たり前です。
では一体何が違うのかというと、仕事が完全に違います。
ナーシングホーム(介護老人施設)では、看護師は配薬と書類、褥瘡の処置ぐらいしかしていません。病院でもシャワー介助やトイレ介助、バイタル測定はほぼ全てAIN(アシスタントナース)の仕事です。ナースコールも最初に動くのはAINで、もし同時に3件鳴っていたりしたら、そこではじめて看護師が動きます。
看護師は主に薬を配って、手術後の創処置だけをしています。
逆にいうとAINも仕事の範囲がきっちり決まっているので、非常に動きやすいです。
そして全体的に、やっている仕事が単純・量が少ないです。
もうこれに尽きます。だから、時間ぴったしに終わるし、打刻をしなくて良い施設の場合は数分前には帰宅、ということが可能になります。
まとめ
今回は、ざっくりとアシスタントナースの仕事内容、「オーストラリア」と「日本」の医療/介護現場の違いを書きました。もしあなたがこの資格をとって働くとなれば、仕事そのものは日本よりはるかにラクで、しかも普通にワーホリをしているひとよりも稼げる仕事となっています。
生活費をゆるりと稼いで、貯めたお金でそこそこお買い物もおいしいものも我慢せずに食べられる。私は好きでした。
なお、日本で医療職をしていなくてもアシスタントナースにはなれますので(学校に通う期間が長くなります)、もし看護師でなくても「なりたい!」と思ったら「TAFE(テイフ)」というところに通うといいでしょう。
読んでくださってありがとうございました。
りりぃ。